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コンテナ型機器による仮想通貨マイニングでICO、テックビューロ、Looop、クリプトマイニングジャパン

仮想通貨取引所ZaifやICOソリューションCOMSAを提供するテックビューロ、太陽光発電セットの販売や電力小売サービスを手がけるLooop、仮想通貨マイニング分野のスタートアップ企業であるクリプトマイニングジャパン(CMJ)の3社は、仮想通貨マイニング事業に関して業務提携を結んだ。Looopとクリプトマイニングジャパンの2社はそれぞれ事業展開のためのICOを近々実施する。テックビューロのICOソリューションCOMSAを利用する。トークン数量や用途などのICOの詳細は追って発表する予定だ。

仮想通貨マイニング事業は、電力コストとマイニング機器の電力対性能比が収益を左右することから、電力コストが安い中国奥地や北欧に設備を置くのが有利とされていた。今回の発表では、Looopが提供する安価な電力とクリプトマイニングジャパンが開発提供する「マイニングコンテナ」を使うことで、日本国内でもマイニング事業の競争力を確保できるとしている。テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は「日本国内でもビットコインのハッシュパワーを確保したい」と話している。

クリプトマイニングジャパンは、独自設計の「マイニングコンテナ」の提供、マイニングプール(複数マイナーが協力して採掘)、クラウドマイニングサービス(多くのユーザーから資金を集めてマイニング事業に投入、収益を分配)の提供を目的として2017年12月から2018年1月までの間にICOを実施する。「マイニングコンテナ」は、輸送用コンテナ内部にデータセンターの機器類を高密度で搭載する「コンテナ型データセンター」の考え方を応用したもの。移動と設置が容易で、高集積かつ電力使用効率が良いメリットがある。コンテナの上部にLooopの太陽光発電設備を設置することで、設置面積あたりの防熱や発電の効率向上に寄与するとしている。コンテナ型には、移動が容易でスケールしやすいメリットもある。クリプトマイニングジャパン代表取締役の三代飛翔氏は、コンテナ型のメリットについて「工場を建設するのに比べて、コンテナ型は短時間で設備をスケール(規模拡大)できる」と話す。マイニングに使うASIC機器やGPU機器の選定、調達に関しても、三代氏は「マイニングを研究するコミュニティ運営を通してノウハウを蓄積してきた」と話している。

今回提携の3社のうちLooopは、2017年12月から2018年2月までの間に発電事業とマイニング事業の拡大を目的とするICOを実施するべく検討を進めている。同社は2011年3月11日の東日本大震災の被災地域へソーラー発電セットの無償提供を実施したことをきっかけに同年創業。家庭向け太陽光発電セットの販売や電力小売サービス「Looopでんき」を手がけてきた。最近では仮想通貨マイニング事業者向けの定額電力料金プラン「マイニングフラット」の提供予定を発表している。同社はICOで調達した資金や仮想通貨マイニングによる収益を、再生可能エネルギーによる低価格な電力供給のビジネスのための設備投資などに活用していく考えだ。

テックビューロは、マイニングで採掘した仮想通貨による決済技術や仮想通貨売却の機能を提供する。またマイニング事業者が仮想通貨の価格下落に対するリスク分散ができるようにするデリバティブ商品などを提供するとしている。

日本でも、最近はビットコインを筆頭とする仮想通貨のマイニング事業への参入のニュースが相次いでいる。GMOインターネットは専用半導体と北欧のデータセンターに100億円規模を投資してビットコインのマイニング事業を開始すると発表しており、マイニングボード販売に関するICOも検討中と発表している。このほかDMM.comやSBIグループも仮想通貨マイニング事業への参入意向を表明している。日本企業によるマイニング事業の機運が急速に高まりつつある状況の中、マイニングに特化したスタートアップ企業と再生可能エネルギーによる新電力事業を運営するスタートアップ企業がICOに挑む形となる。

ブロックチェーン技術mijinをジビエ食肉トレーサビリティに採用、試験運用を開始

野生の鳥獣の食肉「ジビエ」の流通を追跡確認するトレーサビリティのシステムが、中核技術としてテックビューロが開発したプライベートブロックチェーン技術mijinを採用した。システムは一般社団法人日本ジビエ振興協会が10月から試験運用を開始し、2018年1月からは実運用に入る予定。mijinを使った実証実験の報告例は多数あるが、実システムとして稼働した事例が発表されるのは初めてである。

mijinの採用理由は、開発工数と運用コストの削減が大きい。プライベートブロックチェーン技術は高い可用性を標準機能で実現できる。また耐改ざん性があり監査可能であることも、トレーサビリティと相性がいい。ざっくり言えば「信用できるデータ基盤」のニーズがある分野にはブロックチェーン技術の出番があるといっていい。

今回のシステムを運用する日本ジビエ振興協会は、ジビエ食肉の加工の統一規格や、販売先とのマッチングという課題に取り組んでいる。ジビエ食肉の加工、流通、消費までを追跡できるトレーサビリティシステムを構築した背景には、「野生鳥獣には病原菌や寄生虫のリスクがあることから、消費者や外食業界関係者は衛生面では家畜肉以上に厳しい目で見ている」(日本ジビエ振興協会)ことがある。

ジビエといえばもともとは狩猟で捕獲した鳥獣の食肉を指すが、狩猟以外にも背景がある。農林水産省は今、鳥獣被害対策とジビエ食肉の利活用をセットで進めている。年間200億円規模と見積もられている農林業への鳥獣被害を食い止めるとともに、捕獲した鳥獣の食肉を地域の資源として活用しようとするものだ。日本ジビエ振興協会は、この農林水産省の事業に協力しており、今回のシステム構築もその一環という形になる。

日本国内の食品分野のトレーサビリティのシステムとしては、牛肉トレーサビリティがすでに整備済みだ。これはBSE(狂牛病)のまん延を防ぐため牛肉のトレーサビリティが法律で義務付けられているためだ。

いっぽう、ジビエ食肉に関しては、制度、規格、システムなどはまだ整備の途中段階にある。今回のトレーサビリティシステムも、今までシステムが存在しなかったところに新規に構築するものだ。

ブロックチェーン技術の話題といえば、仮想通貨の発行、決済システムへの適用のような話題が多い。だがプライベートブロックチェーン技術は「信用できるデータ基盤」として、さまざまな局面で役に立つ可能性を秘めている。例えば複数の事業者から成るサプライチェーンの情報流通にブロックチェーン技術を使おうとする動きがある。

今回のトレーサビリティシステムは、信用できるデータ基盤を従来の情報システム技術に比べてより低コストで構築できる技術としてプライベートブロックチェーン技術を用いた事例だ。今までコスト面で見合わなかったシステムを作れる可能性があるという点でも、プライベートブロックチェーン技術は要注目の分野といえるだろう。

 

テックビューロがジャフコらから16億円調達、「VCとICOは共存する」

テックビューロが、シリーズBラウンドで約16億円の資金を調達した。調達方法は第三者割当、引受先はジャフコが運用する投資事業組合が約15億円、インフォテリアが約1億円。調達した資金は同社の仮想通貨取引所Zaif、プライベートブロックチェーン技術mijinをはじめ事業の整備拡充に充てる。同社の今までの累計調達額は約25.4億円となる。

ご存じのようにジャフコは日本最大のベンチャーキャピタル(VC)で審査基準も厳しい。出資にあたり交渉や調査には数カ月をかけ、ジャフコ社長の豊貴伸一氏自身が検討に参加したとのことだ。また今回出資するインフォテリアは2016年4月に実施した資金調達にも参加しており、ブロックチェーン関係事業でのシナジーを狙う。

テックビューロでは調達した資金の使途として、下記の各項目を挙げている。

  • 経営基盤の拡充、人員増強
  • Zaif取引所のインフラとサービスの拡充
  • プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainの整備
  • mijinライセンスとCloudChainの販売体制を世界で拡充
  • 米国拠点の拡大、欧州、アジア拠点の設置。スイス、シンガポール、マレーシアなどを検討している。
  • 新規事業投資とM&A

リストの1番目には経営基盤、2番目に仮想通貨取引所Zaifの拡充が挙がっている。2017年4月から施行された仮想通貨法(改正資金決済法)の元では仮想通貨取引所Zaifの運営は金融庁の監督下に置かれることになるが、それに伴い財務基盤の強化が求められ、監査などの支出も増える模様だ。資金調達の背景の一つには取引所としての規制対応がある。

プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainは、商用クラウドサービスとしてmijinの機能を提供するものである。

COMSAは「自前」で資金を集める

調達資金の使途のリストに挙げられていないが、COMSAについて述べておく必要があるだろう(関連記事)。同社のプロダクト(Zaif、mijin)や経験をフル活用したシステムであり、直接の使途ではないが今回の資金調達とも深く関係する事案だからだ。

COMSAは同社が発表したICO(Initial Coin Offering、仮想通貨技術を応用したトークンの発行と販売による資金調達手段)プラットフォームである。COMSA自体のシステム開発やCOMSA対応のサービス拡張運営は、今回の資金調達とは別にCOMSA自体のICOにより調達するとしている。「会社はOSで、COMSAはアプリケーションのようなもの」とテックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は説明する。テックビューロという会社組織とCOMSAでは資金も別々に管理することになる。

同社は9月5日、ICOプラットフォームCOMSAのプレセールに対して個人投資家の千葉功太郎氏が100万ドル相当のビットコインを直接投資したことを発表している。また、3社の機関投資家が出資することを表明している。第三者割当増資により調達した資金とは別勘定でCOMSAにも資金が蓄積されつつある。

「ICOはVCと競合しない、むしろ共存発展できる」

ICOはまだ世の中での理解が十分に進んでいない段階といえる。朝山氏は「ICOのメリットはネットワーク効果、そしてトークンエコノミーの効率の良さだ」と話す。ICOには仮想通貨を使い国境を越えて手軽に参加でき、機関投資家だけでなく個人でも参加が容易だ。ICOの参加者は、ICOで立ち上がったプロジェクトの初期利用者でもある。資金と顧客ネットワークの両方をロケットスタートで早い段階に揃えられることができる。これがICOの価値だ。

ICOが十分に発達するならVCは不人気になる、といった論調も一部にあるが、「VCとICOは、世間で思われているように競合するものではない。むしろ協働、共存できる」と朝山氏は説明する。実際、日本最大手のVCであるジャフコがCOMSAを推進するテックビューロに投資し、個人投資家の千葉功太郎氏がCOMSAに出資していることがその証拠だという訳だ。審査が厳しいVCが出資した株式会社の社会的信用は、ICO参加者にとってもプラスに働くといえる。

ICOの効率性は悪用される場合もある。人気が過熱し、詐欺的な案件も増えている。プロダクトがローンチされないままのICOプロジェクトも多い。プロジェクトの成功確率が低いことは必ずしも悪いことばかりではなく、冒険的なプロジェクトに挑戦できる可能性があるということでもあり、スタートアップの成功確率が小さいという話とも似ている。ただし、ICOの場合はプロダクトがない構想段階なのに数億円といった資金を手にできる場合があり、特にモラルハザードを起こしやすい構造がある。

ICOをめぐり、世界各国で最近多くの動きがあった。7月25日に米SEC(証券取引委員会)は、2016年のThe DAOを「有価証券にあたり規制対象となる」と位置づけ、類似するICOは規制する方向性を示した。シンガポールとカナダの規制当局も同様の方針を打ち出している。9月4日、中国の中央銀行である中国人民銀行は中国国内のICOを「大部分は詐欺」と断じて一律停止、過去の案件も調査のうえ場合によっては返金を命じるとの厳しい措置を打ち出した。同じ日、ロシア連邦中央銀行も、仮想通貨とICOは「高リスク」と警告する文書を公開している。ICO過熱への警戒から、各国の規制当局が動いている形だ。もっとも規制強化の話ばかりではなく、エストニアでは8月22日に政府公認のICO計画を公表している。

COMSAに話を戻すと、テックビューロは「実業」がある案件に絞ることで成功事例を作っていく立場だと説明している。COMSAではICO協議会を設置してICO案件を審査し、特に初期段階では成功確率が高い案件を主に実施する考えだ。米SEC基準で有価証券に相当しないトークン(例えばサービス利用時に利用料を割り引いてくれるトークンなど)を設計していく。

前述した海外での規制強化は、詐欺的な案件や有価証券に準じる性格のトークンを対象としたものだ。そうではない健全なICOには「むしろ良い動きだ」と朝山氏は説明している。

テックビューロは今までトークンエコノミーというキーワードで多くの試みをしてきた。トークン発行サービスZaica、タレントの卵を応援するトレーディングカード的なICOであるBitGirls、それにZaifの優良利用者に配布したZaifトークンなどだ。COMSAは、これらの試みから得られた知見を投入したプロジェクトといえる。

シリーズBを終えた同社の今後の活動により、ICOやトークンエコノミーの分野で経験と知見、そして成功事例が蓄積されていくことを期待したい。

日本の仮想通貨法を武器とした資金調達のICOプラットフォーム「COMSA」をテックビューロが発表

新たな資金調達手段としてICO(Initial Coin Offering、仮想通貨発行による資金調達)に注目が集まっている。ICO情報を集めたcoinschedule.comによれば2017年1月から7月までのICOによる資金調達総額は1253Mドルと1Bドル(10億ドル、約1100億円)を越える水準にある。今はICOブームのただなかといっていい。

この盛り上がりを背景に、世界に先駆けて仮想通貨法(改正資金決済法)を成立させた日本ならではのICOソリューションが登場する。仮想通貨取引所Zaifを運営し、プライベートブロックチェーン技術mijinを開発するテックビューロが8月3日に発表した「COMSA」だ。3種類のパブリックブロックチェーンに対応する点、システム技術としてプライベートブロックチェーンを利用する点、日本の仮想通貨法による法的根拠を売り物とする。

COMSAの1号案件として、この2017年10月にCOMSA自体のICOを実施する予定。2号案件は11月中旬に東証二部上場企業のプレミアムウォーターホールディングス、3号案件は11月下旬にCAMPFIREを予定している。

COMSAの全体像は複雑だが、要点は以下のようになる。なお、これはCOMSAの完成イメージで、ICOの1号案件で調達した資金により開発していく構想だ。

  • ビットコイン、Ethereum、NEMと3種類のパブリックブロックチェーンに対応。複数の仮想通貨により資金を調達できる。
  • ICOによるトークンの発行技術として、Ethereum上のトークン技術ERC20、NEMの技術であるMosaicを利用可能
  • 仮想通貨が抱えるボラティリティ(価格変動の激しさ)を回避するため、日本円と価格が連動する仮想通貨Zenのような法定通貨とペグした仮想通貨を利用可能とする
  • システム技術としてmijinにより構築したプライベートブロックチェーンを採用。プライベートブロックチェーン内トークンとパブリックブロックチェーン上のトークンを連携させるソリューションにも対応する。またサーキットブレーカーなど緊急事態への対応策を取り入れる
  • 法的根拠が明確。日本の仮想通貨法に基づき金融庁の登録事業となる予定のZaif取引所が資金を管理する。
  • 有識者を集めたICO協議会を設置し、研究や情報発信を行う

The DAOを教訓に、上場企業が利用できるICO手法を構想

COMSAの構想からは、2016年に登場して数々の課題を残していった仮想通貨建て投資ファンドThe DAOの影響を見て取ることができる。The DAOは非中央集権型という建前のため素早いセキュリティ対策が取れないままハッキング被害を受けた。またハッキングによる被害を回復しようとしてEthereumのパブリックブロックチェーンのハードフォークによる巻き戻しという強行策を取り、その副作用として新たな仮想通貨Ethereum Classicが分岐した。さらにThe DAOには法的根拠が明確でないとの指摘があった。1年後の2017年7月25日にSEC(米証券取引委員会)が発表したレポートでは、The DAOを調査した結果「有価証券にあたり規制対象となる」と結論付けている。The DAOは事業リスクをデジタルなトークンの形にしたもので、証券法の対象となるとの指摘だ。

このような課題をCOMSAは次のように解決している。まずテックビューロがシステム、資金管理に責任を負う形とした。日本の仮想通貨法という法的根拠があり、分別管理など仮想通貨取引所に課せられている基準が適用される。またシステムはプライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンを連動させる形とし、緊急時には切り離して対応可能とした。The DAO事件のようなセキュリティ上の脅威や相場操作のような事態に対処しやすいようにした。またSECの規制対象とならないよう「有価証券に相当しないトークンを発行する」(テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏)と説明する。これは、リスクが高いプロジェクト立ち上げのための資金ではなく、継続中の事業の資金調達を主な対象と考えていることを意味する。

法的根拠に関しては、相当の調査を進めている模様だ。前述したICO協議会の委員に名前を連ねる増島雅和弁護士は、最近開催した勉強会で「有価証券の公募によるIPOは米証券法に関する規制対象となる。有価証券に該当しないようデザインした仮想通貨トークンを使わなければトークンセール/ICOの意味がない」と説明している。国境を越えて広い範囲から仮想通貨建てで資金を集めることができることがICOのメリットだが、そのメリットを享受するにはSECや各国の規制対象とならない種類のトークンにする必要がある。

以上見てきたように、COMSAは、今までよく耳にしてきた「非中央集権型のパブリックブロックチェーン上の分散型アプリケーション開発プロジェクトのための資金を調達する」といった発想とは正反対のプラットフォームといえる。運営主体は日本の一企業なので中央集権型だ。運営主体と法的根拠が明確な点で、すでに事業基盤を固めている企業が利用できる資金調達手法といえる。もっとも、スタートアップ企業の資金調達のためにCOMSAを使うことも今後はありうるとのことだ。「例えば、スタートアップ向けファンドから資金調達をした企業が、その信用を背景にICOで追加の資金調達をする使い方も考えられる」(朝山氏)としている。